損害賠償額が2倍以上変わる!?「自賠責基準」「裁判基準」「任意基準」とは?

交通事故が発生した場合の損害賠償額を算出する場合には、以下の3つの基準があります。

  • 自賠責保険基準:以下、自賠責基準
  • 裁判所(弁護士会)基準:以下、「裁判基準」
  • 任意保険基準:以下、任意基準

この3つの基準を理解しておかないと、実際に交通事故に巻き込まれた場合に損害賠償額で揉めることになります。

自賠責基準

車の所有者が必ず加入しなければならない保険が、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)です。別名では強制保険と呼ばれます。

昭和20年代には、交通事故を起こした加害者が損害賠償金を支払うことができず、被害者が泣き寝入りするケースがあったため、昭和30年に被害者救済を目的とした自賠責保険の制度が作られました。

傷害事故で後遺症が残らない場合

支払われる損害賠償金の内容は、積極損害(治療費など)と消極損害(休業補償)と慰謝料となり、上限金額が120万円となっています。

傷害事故で後遺症が残った場合

支払われる損害賠償金の内容は、後遺障害分として逸失利益と慰謝料となっており、上限金額が4000万となっています。傷害の場合は、別途120万円が支払われます。

死亡事故

支払われる損害賠償金の内容は、積極損害(葬儀費用、死亡までの治療費など)と逸失利益と慰謝料となり、上限金額が3000万円となっています。

裁判基準

仮に交通事故の被害にあってしまった場合には、まず被害者側が損害を被った金額について算出をすることになります。

そのうえで加害者と被害者が示談交渉をするわけですが、損害賠償請求する金額が、自賠責保険の保険金を超える金額が算定されたり、加害者が加入している任意保険の保険金よりも上回ってしまう場合には、示談は成立しない可能性が高くなります。

加害者との示談が成立しない場合には、被害者側は、弁護士にも相談したうえで加害者に対して損害賠償請求訴訟を提起することになります。交通事故に関する損害賠償金については、日本弁護士連合会の交通事故相談センターが最新の判例を分析したうえで2年に1度、交通事故損害額認定基準を公表しています。

これが、いわゆる裁判基準です。

傷害事故で後遺症が残らない場合の損害賠償金

支払われる損害賠償金の内容は、以下の3つが該当します。

  • 積極損害(治療費など)
  • 消極損害(休業補償)
  • 慰謝料

自賠責保険よりも広い範囲の損害賠償請求が認められています。例えば、入院時の付き添い看護費用については自賠責保険では医師が必要と認めた場合のみですが、裁判基準では職業付添人の場合は実費が全額認められています。

そして、退院後の自宅のバリアフリー化などの費用については実費相当額が認められています。入院による休業損害については、自賠責保険では1日につき5,700円とされていますが、裁判基準では、事故前の収入を基礎にしたうえで怪我による休業で実際に喪失した収入額とされています。

傷害事故で後遺症が残った場合

支払われる損害賠償金の内容は、積極損害(治療費など)と消極損害(休業補償と逸失利益)と慰謝料となっています。後遺障害がある場合は、裁判基準では将来の付き添い介護費用が原則として平均余命まで認められています。自賠責保険では、将来の付き添い介護費用について定めがありません。

また、裁判基準の慰謝料については後遺障害等級ごとに1級については2700万円から3100万円となっていますが、自賠責保険では1級の場合でも最大1600万円となっています。

死亡事故

支払われる損害賠償金の内容は、積極損害(葬儀費用、死亡までの治療費など)と逸失利益と慰謝料、それに加えて車や服などの物損費用となっています。死亡事故の場合、自賠責保険ともっとも差異がある点は慰謝料です。

自賠責保険では、遺族が3名であった場合は慰謝料が1100万円となりますが、裁判基準では、死亡した被害者が一家の大黒柱であった場合には最低金額が2700万円であり、死亡した被害者が一家の大黒柱に準ずる場合では最低金額が2400万円、それ以外の人物であっても最低金額が2000万円となっています。

任意基準

任意基準は、損害保険会社が独自に設定した算定基準を元にして算出する方法です。ですので、国が加入を定めている自賠責保険とは算出内容が異なります。

前述の通り、自賠責基準は限度額が低く設定されていることもあり、加害者側がそれを超える慰謝料(損害賠償)の支払いを必要とする場合があります。

そういった場合に備えて、任意基準で溢れた分をカバーすることになります。任意保険には必ず加入しましょう。